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印西グリーンベースは、食育(人生)の縮図
2021/12/25 カテゴリー: Column
~オンライン食育部
イベント参加者体験記から~
書き手:まーぼう
1976年生まれ。システムエンジニア。コロナをきっかけに知り合いの畑を手伝うようになる。最近畑や河原で焚火をして地域の人や知らない人と繋がる場ができてきている。オンラインで畑と繋いだり畑からオンラインのイベントへ参加したりいままで繋がらなかった人と繋がりたい。
オンライン食育部から、“印西グリーンベース”中継イベントの案内が届いたころ、ちょうどマツコの番組で神奈川、埼玉、千葉を通る環状線である国道16号線の特集を見た。神奈川の16号線エリアに住んでいるが、繋がる千葉の国道16号線エリアへ行ってみたいと思っていたところ、“オンライン食育部”の大島 裕子さんが印西牧の原にある“印西グリーンベース”で、オンライン中継イベントと、焚き火をするという話を食育部で企画していることを知った。
そこで、複業として農場を営んでいる、「コラボワークス」の中村龍太さんの農場である“印西グリーンベース”へいこう!という企画だった。さっそく申込して、募集人数に入れて、参加できることになった。びっくりするくらい良いタイミングで千葉の国道16号線エリアへ行けることになったわけである。
当日、印西牧の原駅を降りると駅の周辺はとても広く、線路の両側に巨大な商業エリアが並んでいた。 駅近くに想像以上の大きな駐車場があり、驚いた。隣接するショッピングモールのスーパーで食材をみんなと購入した。
参加者は、大人の女性3名と、子供が一人、男性が2名、それと龍太さん。龍太さんと、近くに住まいがある参加者の車に分乗して印西グリーンベースへ移動し、車窓から見ていると、里山があり、立ち並ぶ住宅エリアと自然が近くにあっていい環境だと感じた。
印西グリーンベースに着くとニンジンが植わっている小さな畑と、畑に比べるとずいぶんと広い、草の空き地があった。空き地の隅にはビニールハウスが建っていた。
ビニールハウスは中には、さまざまな視点から見ると表情が変わるというおしゃれな木枠のスペースがあり、作物を育てているわけではなく、全天候型の人のためのスペースのようで、なんだかわからないがわくわくする空間だった。
畑のそばの空き地で折りたたみテーブルとイスを準備し、畑のニンジンを収穫させていただいたあとは軽くご飯を食べた。時間がくると、大島さんと自分は、リモートスタジオにもなるそのビニールハウスで、龍太さんとZoom配信のための準備を始めた。
他の参加者は龍太さんに教えて貰って竹を割って竹串を作ったり、焚き火の準備をしたり自主的にやれることを探して動いていた。
大島さんの中村龍太さんをゲストに招いてのZoom配信が始まった。
“オンライン食育部”では、“食”に本質的に関わる“良い人”のお話を紹介する活動もしている。中村龍太さんが“印西グリーンベース”の思いを話され、他の参加者もスマホやMacで参加していた。
1人の人がいろんな関心で複数の職を持つことを話していたのが印象的だった。副業ではなく複業、お金を稼ぐ仕事、人脈を作る仕事、自分の関心ある仕事。いろんな自分があっていいという考えで、それは自分だけでなく相手に対しても自分の見ている相手は一面でしかなくいろんな側面があると考える優しい考え方だと思った。
さてハウスの中で配信時間が経過してくると、外にいる参加者も手持無沙汰になってきた。そこで自主的に、「焚き火を始めてしまおう!」という話になった。
あっという間に焚き火の薪が組みあがり、参加者の娘さんがマッチで点火した。「パンも焼いていよう!」と、竹串に、大島さんが朝の電車移動中、発酵させ準備してあったパン生地を付けて焼き始めた。焚き火をみんなで囲みながら、安納芋の焼き芋を投入し、マシュマロも焼いて、自律的に自然に動いていたようすが、心地よかった。
火をただ見つめ、それぞれ一心に焼いていたり、何かを考えたり、それだけで話さなくても連帯感が生まれたように感じた。パンが焼けるとビニールハウスの配信メンバーにも持っていく人がいたり、焼き芋を小まめに転がして面倒を見る人がいたり、話をして盛り上げる人などそれぞれが貢献していた。
配信中の龍太さんの話にもあったが、ここはいろんな人が訪れる場所にしたいということだった。月に1,2回でも来て畑に触れるとそれだけで安らぐ人もいて、やがて来なくなることもあるが、それはその人が回復したということ。そんな場所があってもいいのではということだった。
配信も終わってカメラ担当の人と龍太さん、大島さんも焚き火に加わり、ホイルを開いて、ふっくら黄金色に焼けた焼き芋や、発酵バターが溶け、シナモンの香りで、飴色に湯気を立てる焼きリンゴを食べたが、「う、う、うまっ!!」と思わずさけんでしまった。
そして龍太さんに淹れて貰ったコーヒーを飲んでほっとしながら、近くに住む農家さんも遊びに来て、焚き火と、デザート&コーヒータイムに加わった。参加者のお子さんも、ほとんどだまって、火を体験し、場づくりに加わっていた様子を見ながら、ここはいろんな人が集まって創る「場」なんだな、と感じた。
焚き火したい人は焚き火し、料理したい人は料理する、食べたい人は食べる、話さなくてもいいし一緒にいるだけでいいと思えるとても豊かな時間が過ごせる「場」。そして、生きていくのに必要な体験が詰まっている。
こういう場がもっと増えてより多くの人が気軽に参加できるようになると、生きる力を楽しみながら無意識に習得し、そんな多くの人によって豊かな世の中になるように感じた。
また、大きなゆずの木があり、収穫させて貰ったが、ゆずの枝にあんなに“凶悪なトゲ”があると初めて体験した。こういう自然での痛い目にあう体験も、人生には大切だと思った。これからはゆずを見るたびに収穫した人の苦労を思うようになるだろう。
ゆずは帰宅後に子どもと一緒に生まれて初めてジャムを作ったが、美味しくでき、親子で喜んだ。自分で痛い思いをして収穫し、それを楽しみ、喜び、運び、創り、家族と分け合って食べる。帰宅してからもとてもいい経験となった、収穫体験であった。
多くの人に体験して欲しい。
Text by まーぼう, Photo by オンライン食育部員 & Ryuta Nakamura